──ずっとミュージカルのお仕事をされてきましたが、アニメの「セーラームーン」にも曲を書いたのは何がきっかけだったんですか?

アニメスタッフの幾原(邦彦)さんに、劇場版(「美少女戦士セーラームーンR」)の曲を発注されたのが最初です。「ラ・ソウルジャー(La Soldier)」を聴いて「これこそセーラームーンの曲なんだ!」と思ってくださったそうで。

──「劇場版R」の主題歌というと「Moon Revenge」ですが、1曲まるまるが劇中歌として流れるクライマックスは、ファンの間でも屈指の名シーンとして知られています。

お陰さまでとても好評だったみたいですね。その後「ラ・ソウルジャー(La Soldier)」も、TVアニメの最終回かなにか(第88話「光と闇の最終決戦! 未来へ誓う愛」)で劇中歌として使っていただきました。

──そして続いて生まれたのが「美少女戦士セーラームーンS」のエンディング、「タキシード・ミラージュ」?

そうですね。「うさぎとまもちゃんのラブソング」というストレートな依頼を受けました。確かこの曲で初めて、武内(直子)先生とタッグを組ませてもらったんだと思います。冬杜さんの歌詞とはまたガラッと違う雰囲気で。

──基本的には詞があって、そこに曲をつけていくという作り方なんですか?

はい。私はそのほうがやりやすいんです。この曲は武内先生から最初にいただいた詞がすごく長くて、完成版の1.5倍くらいあったんですよ。ところがTVのエンディングは90秒と尺が決まってたので、全然入らない。ひとしきり悩んで、武内先生に「短くさせていただけますか?」と直接お電話させていただいたことをすごくよく覚えていますね。

──なるほど。泣く泣くお蔵入りしてしまった歌詞もぜひ拝見したいです。

先生、持っていらっしゃるかしらね。探せば私の家にも絶対あると思います。ものすごくロマンチックな詞ですよね。「三日月のシャーレ」とか「カナリアのオルゴール」とか、作詞家の方の詞とはまた違う、特徴的な言葉が多かったので、メロディを乗せていくのがすごく楽しかったです。「このオルゴール、どんなオルゴールなんだろう?欲しいなあ」っていまだにファンの方とお話ししたりしますよ。

──小坂さん自身もカバーされていますね(アルバム「懐想〜linked to 40yrs.〜」)。

そうなんです。「セーラームーン」を知らない人でも1回聴いたら好きになるみたいで、ライブでやっても人気がありますよ。ここまでメロディアスな曲は「セーラームーン」では結構珍しいですよね。「ラ・ソウルジャー(La Soldier)」とは対照的に、私のカラーがよく出た曲だと思います。

──歌はセーラー戦士役の声優さん5人が担当していますが、レコーディング時に印象的だったことなどありますか?

さっきのミュージカルの話と被るんですけど、やっぱりそれぞれキーが違うから音域が難しかったですね。常に1オクターブくらいしか使っちゃいけないっていうルールがあって、大変でした(笑)。