──今回発売されるトリビュートアルバムでは、「タキシード・ミラージュ」をももいろクローバーZが、「ラ・ソウルジャー(La Soldier)」をTommy heavenly6がカバーしています。お聴きになってみていかがでしたか?

「タキシード・ミラージュ」はもう、本当にピュアで。でもなんだかコケティッシュ……っていう言葉がまだあるのかわからないですけど(笑)、そんな感じもあってかわいらしかったです。ももクロさんって普段あんまりこういうバラードって歌ってないと思うんですが、すごくハーモニーが綺麗でした。

──サビのハーモニーも含め、割と原曲に忠実ですよね。

原曲に近いアレンジでした。私、彼女たちの真っ直ぐな歌い方が大好きなんですね。ビブラートのかかる歌って実は苦手で。いまビブラートを入れて歌えば歌うほど得点が高くなるカラオケ番組とかありますけど、「それは違うでしょ!」ってTVの前で怒ってるんです(笑)。

──ははは(笑)。

ももクロさんたちは、ほんっとうに純粋ですよね。中学生ノリのままというか(笑)、すごくのびのびとしてる。ヒットを出しても本人たちは全然意に介してなさそうで、それがすごいなあって。「歌が上手い」と「歌がいい」は全然違うといつも思ってるんですけど、私、上手い歌ってあんまり興味がなくて、彼女たちはどちらかというと「いい歌」のほうだと思ってるんですよ。バーンと耳に入ってくる声と勢いがある。

──なるほど。ではTommy heavenly6さんの「ラ・ソウルジャー(La Soldier)」はいかがでしたか。

大のお気に入りです。ブリグリ(the brilliant green)時代からTommyさんのことが大好きだったので、この曲を選んでくれてうれしかったですね。なんだかハードなテイストで、カッコよくて……。

──ヘビーなアレンジでしたね。

ヘビメタですよね。「おおーっ!スネアが倍になってる!」って興奮しちゃいました(笑)。このトリビュートアルバムの話を聞いたときはミュージカルの曲が入るなんて思ってなかったので、とてもうれしかったです。

──武内先生の担当編集おさBUさんが、昨年Twitterで「セーラームーン」の人気曲投票という企画をされていたんです。そこで「ラ・ソウルジャー(La Soldier)」は8位。そして同率1位が「Moon Revenge」と「タキシード・ミラージュ」だったんですよ。

ええー! そうなんですか。すごくうれしいです。

──小坂さんの楽曲が、これだけ「セーラームーン」ファンに愛されるのってなぜだと思いますか?

うーん……どうしてだろう。もしかしたらですけど、「永遠」っていうところがリンクしてるのかもしれないですね。

──永遠?

うん。「セーラームーン」って、輪廻がテーマになっているじゃないですか。過去と未来が繋がっているというか。私も噛んでも噛んでも味が落ちないガムみたいに、ずっと歌い継がれる曲を書いていきたいなと思ってるんですけど、「セーラームーン」に書いた曲で、まさにそれを実現させてもらった気がしていて。例えば今30歳くらいの人たちは「あなた」を知らないんですけど、「セーラームーン」のことをお母さんに話すと「小坂明子っていえば、昔『あなた』っていう曲歌ってたのよ」って教えてくれるとか。私の音楽が、過去と未来を繋げられてると思うとうれしいですね。デビューして今年で40年ですけど、セーラームーンが20周年だから、芸歴の半分一緒にいたことになるんです。

─そんな小坂さんにとって、「セーラームーン」という作品はどんな存在ですか。

そうねえ……まもちゃんじゃないけど、私も当時からずっと、セーラームーンに守られてる部分があるのかもしれないな、なんて思います。それは多くのファンの方を見てても同じように感じますね。このトリビュートアルバムの情報が公表されたときに、Amazonで予約がバーッと入ってたのは圧巻でした。だって、何が入るかわからないのに予約してるんですよ?

──あはは(笑)。中身がどうあれ「セーラームーン」のCDなら買う、と。

ねえ? こんなにCDが売れない時代なのに。改めて「セーラームーン」という作品の強さを感じるし、皆うさぎちゃんに力をもらってるんだろうなって感じました。

──今夏にはいよいよ新作アニメの配信もスタートしますし、そのパワーはますます大きく広がっていきそうです。

いつも思うんだけど、願い続ければ夢は叶うんですよね。多くの人が待っていた「セーラームーン」の復活が実現して、今回このアルバムが出ることがすごくうれしいです。入ってるのは過去の曲だけど、ぜひ今の曲として、もう一回聴き直してもらえたらうれしいです!